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笑説は事実より喜なり

笑説家 ヤマウチツヨシ/ガッカリさせない期待に応えて 素敵で楽しい いつものブログを見せる予!定。(BLOGで起こせよムーヴメント)

【ミスチル】イケてんだろ?ミスター・マイセルフ

 

こんにちわ。

その昔、結婚式場「エルセルモ熊本」をラブホテルだと勘違いしていて、辛島公園でナンパした女の子を車に乗せるとすぐに意気投合し、 しばしのドライブの後そのままエルセルモに連れて行き女の子を絶句させた友人を持つ、僕です。

 

絶叫されたんじゃなくて「絶句」ですからね。

できれば「出会ってから結婚まで世界最短記録」達成してほしかったわ。

で今週は、12月末のクリスマスが近くなると思いだすあの記憶のお話。

―――――――――――――――

ミスチル】イケてんだろ?ミスター・マイセルフ

 

『いーや、全然悪くない』

 

この言葉が脳裏に焼きついてから、もう20年の月日が立とうとしている。

忘れもしない、あれは小学校6年生の年の冬休みのことだった。

 

昨夜、少年はなかなか寝付けずにいた。

この感覚はリレーのアンカーを任された体育会の前日の夜、 そして初めてギルガメッシュナイトを見てしまった夜以来、 自身3度目の眠れない夜だった。

その理由はたったひとつ。

今日、生まれて初めて"飛行機"に乗るからだ。

しかもたった一人で。

 

数年前に両親は離婚、少年は母親のもとで育てられた。 理解ある両親のおかげで父親とまったく会えないことなく、一年に一度か二度は父親が会いに来てくれた。

そして今日、久しぶりの再会を果たすのだが、今回は父親のもとに少年が会いに行くことになったのだ。

父親に久しぶりに会える喜び、たった一人で初めて乗る飛行機。

そして父親が住んでいる「東京」という場所―。

 

まだ12歳の少年が興奮を隠せないのは、至極当然のことだった。

東京がどこにあるかなんて知らないが、「花の都」だってことは知ってる。 予備知識は"長渕剛の歌"だけだった少年は、東京をハウステンボスのような幻想的な世界だと想像していた。

 

そしてもうひとつ、母親から大事なことを聞かされていた。

東京に行くにあたって当日、空港内で「スカイメート」に入会するため、空港内で写真撮影があるということ。

少年は、かつて今まで経験したことがないほど興奮のピークに達していた。

 

なぜなら『カッコよく写りたい!』からだ。

 

少年は朝から身だしなみを整えはじめる。

まず化粧台の引き出しから手早く取り出したのは、小学校では禁止されている整髪剤、ヘアスプレー『ケープ』だ。

少年にとってこの『ケープ』の存在は大きかった。

3つ年上の姉がお出かけのたびに振りまく魔法のスプレー。

 

「いつか自分も盛大に撒き散らかしたい!」

 

その思いは必死に胸の奥に押し殺して生活してきた。

姉が化粧台の引き出しに大事そうに隠しているのは知っていたが、少年は知らないフリをしていた。

もしも隠し場所に気付いていることを知ったならば、ケープポジションが変更される可能性も少なからず出てくる。

その最悪のケースはどうしても避けたい。

だからこの日が来るまでバカなフリをしていたんだ。

 

「クックックッ、残念だったな姉ちゃん。思う存分に撒き散らかせてもらうよ」

 

不敵な笑みを浮かべそう呟いた少年は早速、ケープを手に取り盛大に撒き散らし始めた。

憧れのヘアースタイルにするために。

そう、イノセントワールドのPVに出ている桜井さんのようになるために!

 

プシューーーーー!!!!!

 

 

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うん、実に完璧だ。

 

まさかスカイメイトの奴らも小学生がケープを使ってミスチル風に仕上げてくるなんて思ってもいないだろう。

 

次はファッションだ。

昨夜から何を着ていくのかは決めていたのだろう。

素早い動きでタンスから取り出したのはハイネックのセーター、さらに続けてGジャンを取り出した。

その間わずか2秒。僕のファッション矢沢の2秒。

そして先ほどのケーピングの際、額についたスプレー液を拭ったときに使用した足元のタオルを拾い、天井めがけて放り投げる!

 

撮ってってくれ~Ha~Ha!!

 

 

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うん、実に洒落乙だ。

もういつ撮られても大丈夫だ。

 

まさかスカイメイトの奴らもケープチルドレンがタオル放り投げてYAZAWA風に登場してくるなんて思ってもいないだろう。(この時まだスカイメイトボーイスカウト的なものだと思ってる)

 

そして少年は鏡越しに映る自分に親指を立て、

大胆にも「Gジャンの襟をたてる」という小学生では考えられないようなハイセンスな着こなしをみせつけ家を飛び出したのだ!

どこでそんな巧みな技を覚えたのかは未だに謎である。

 

そして母親と共にたどり着いた熊本空港。

そこで係りの人間に案内された撮影用の証明写真ボックス。

そこに入れられ、ドキドキしながらフラッシュを待つ。

なんでもないような顔をして、必死で自分を落ち着かせる。

 

大丈夫だ…心配するな…僕はカッコいいんだ…

髪型もバッチリ…服のコーデもバッチリだ…大丈夫だ……

 

 

心臓の鼓動がはっきり聞こえる。

お母さんに緊張してるのがばれてるんじゃないか?

どうかばれないでくれ。

僕は自分に自信がある、緊張とかしないカッコいい奴なんだ!

 

 

パシャッ!!!!!

 

 

 

 

フラッシュ音が確かに聞こえた。

 

うん、大丈夫なはずだ。

 

目も自分の限界まで思いっきり見開いた。

顎も引いてシャープに見えてる映り方をした。

何よりも素材がいい。

何もしなくたって僕はカッコいいはずだ。

これですべての条件は揃った。

後は写真を待つのみ。

 

 

大丈夫だ・・・大丈夫だ!!

 

 

そう何度も自分に「大丈夫だ」と言い聞かす姿は、いま思えば不安の表れだったのかもしれない。

 

そして出てきた写真がコレ。

 

 

 

 

 

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えっ?

 

 

 

 

 

はっ?

 

 

 

 

 

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い、石破?

 

 

 

 

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ふざけんな!!!

 

絶対こんなブスなはずねーだろ!!

 

どこがミスチルだよ!!

 

 

 

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そうそう、これこれ!

俺の中じゃ黄昏の街を背にするこの人なんだよ!

 

 

 

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完全に石破だった。

 

 

 

俺は、生まれも育ちも石破だった。

 

 

 

 

いやいや、なんで石破の写真が出てきてんだよ!

「プリント石破倶楽部」通称イシクラかこれは!

 

それになぜシロクロなんだよ!

舞台は平成!

世はHEY!SAY!

戦後まもなく感を醸し出すな!

第三次世界大戦なんか始まっておりません!!

 

てか、若干立ち位置もおかしいし! 

真ん中にピシャッと立てやコラ!!

 

てかこんなのおかしい!サギだ詐欺!

 

ぼったくりだーーーー!!誰か警察呼んで―!!!!!

 

 

動揺を隠せない少年は母親にこう訴えた。

 

「お母さん!写真写りが悪いからもう一回撮りなおさせてよ!!」

 

すると母親から言われた言葉が冒頭で並べた言葉だ。

 

 

『いーや、全然悪くない。あんたこーゆー顔しとる。ソックリよ』

 

 

 

 

 

お母さん、あの時の言葉は今も胸に焼きついているんだ。

あの時、すごく悲しくて、そして恐かったんだ。

今まで僕が鏡越しで見てきた自分は、一体誰だったんだって。

なんで自分のことを桜井さんに似てると思っていたんだろう。

僕は何を見てきたんだろうって。

 

お母さん、あの時の言葉は今も胸に焼きついているんだ。

 

ソックリって…

 

僕は誰のモノマネもしてなかったよ。

 

あの当時は石破さんも有名じゃなかったよ。

誰のモノマネも、してなかったんだ。

 演奏終了とみせかけて曲が止まらずに"後方から登場する側"の人間だよ。

 そう、僕が、本人なんだ。

 

12月末のクリスマスが近づいてくると思いだすこの記憶。

そしてあの日に教えられたこと。

 

『軽はずみな言葉が時に人を傷付ける』

『窓に反射する(うつる)哀れな自分(おとこ)が愛しくもある』

 

そう、イノセントワールドはまさに僕の曲だったんだ。

母ちゃん、こんな"ミスターマイセルフ"をたくましく育ててくれてありがとう。

母ちゃんが長生きしてくれることが、一番のクリスマスプレゼントだよ。