笑説は事実より喜なり

笑説家 ヤマウチツヨシ/岡本太郎氏の『用心深く、いや臆病に今までの使い古されたパターンをなぞって何になるか』という言葉に感銘を受け、使い古されてないパターンのブログはじめました。

【新3大】本田裕人の掟破りな不可解ジャッジ③

 

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こんにちわ。

マネーの虎」の司会が吉田栄作じゃなくて吉田美和だったら、なんか夢が叶いそうな気がする、僕です。

主役から「俺の醜態をさらすのはやめてくれ!」と試合中止を要請がありましたが、棄却いたしました。

なぜならば最後は純粋に「感動」するからです。

それでは最終章です、どーぞ。

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【新3大 本田裕人の掟破りな不可解ジャッジ③】

 

『えっ?もう終わったっぽい?』(試合中の選手及び観戦していた本田以外のそのすべての人々)

 

まず有権者の皆さまにお伝えしたいのは、度重なる失敗を繰り返す審判本田は、気がつけばサッカー部員はもちろんのこと全校生徒からの信頼を完全に失ってしまったということ!

特に最近やらかした失敗が歯止めがきかない本田離れにとどめを刺しました。

試合中に笛を本当に無くしてしまった審判本田。

必死に探すも見つからないまま試合は進んでいく。

なんとかしなくては…とひねり出した答え。それは足元に生えていた雑草をむしり取り、草笛として使用して事なきを得たそうです。

そんなの絶対に事なきを得ているはずがない!

その話を聞かされた取材班は「流石にそれは嘘でしょ」と問い詰めたところ、

『イチイチつっかかるな!ジャーナリズム精神の塊か!』と逆切れするありさま。

痛いところを突かれた政治家の如く激昂する姿に更なる不信感を募らせたのですが、真意のほどは定かではなく、むしろなんの自慢にもならないことを自信満々に語る彼の姿は頼もしくもありました。

しかし、思春期の少年たちにはそんな風に汲み取ってもらえるはずもなく、ただただ純粋に嫌われていくのであります。

特に顧問就任時に三年生だった生徒たちの不満は凄まじいものがありました。

彼等はまともな指導は一度たりとも受けていないのであります。

そんな状態でむかえた中体連は無様な結果で敗北。あっけなくその青春に幕が下りてしまいました。

最後の集大成を有終の美を飾ることができずに泣き崩れるロッカールーム。

そこに【冬の高校サッカー】の映像を何度もみて勉強していた審判本田は、敗者チームのロッカールームこそ顧問の"器量と真価"が問われる場所だと思っていました。

試合中は終始無言だった男がロッカールームでその重い口を開きました。

 

『あの横綱白鵬は63連勝の記録を止められた稀勢の里戦後のインタビューで「負けて相撲は覚えるもの」と答えたんだ。言いたいことはわかるよな?三年間お疲れ様』

 

事前に用意していた言葉をさぞ今思いついたかのようにドヤ顔で語る。

静まり返る三年生を見た審判本田は「感動してるんだな」と思ったそうですが、実際は違いました。

 

「てか自分で考えた言葉じゃねーのかよ…」

「サッカー選手の名言も探せばあっただろ…」

「なんで白鵬の名言だよ…個人競技の人じゃねーか…」

「いや、負けなくてもお前よりサッカー知ってるし…」

「てか一番負けなきゃいけねー奴はお前じゃねーか…」

 

頭の中では中学生とは思えないほどキレのあるツッコミのオンパレード。

この積りに積もった審判本田への不満は、いつしかサッカー部員から全生徒へ、全生徒から全保護者へと【掟破りな不可解ジャッジ集】としてネズミ講のように広がっていくのであります。

 

それからというもの審判のオファーはゼロ。

学校内での信頼もいつの間にかゼロ。

カロリーオフとかじゃない、カロリー完全にきっぱりゼロ。

「給食のおばちゃんの方がはるかに頼りがいがあるわ」とまで言われる始末。

そんな酷い仕打ちに悲しい気持ちになり途方に暮れる審判本田。

 

『こんなはずじゃなかった…』

 

本田先生と呼ばれたくて、生徒に頼られたくて飛び込んだ教師への道。

それがいつしか"審判本田"と皮肉を込めて呼ばれる毎日。

歯止めがきかない低レビューと誹謗中傷の黒板への書き込み。

このままじゃ自分の大切な家族にも被害が及んでしまうじゃないか…

家族の危険を感じたとった審判本田は、なんとか就任当初の信用を取り戻すために今までの人生最大級のMAXハイテンションになるのであります!

 

夏休み期間中に部活動以外の時間は朝から晩までサッカーの勉強の日々!

サッカーの勉強の専門学校にでも入学したのかってくらいサッカーの勉強!

サッカーの勉強だけで飯食ってるいけるくらいサッカーの勉強をするのであります!

そんな姿を見た二年生や新一年生の部員たちは、徐々に審判本田の本気の熱意に心を奪われていくのであります。

するとそんな想いが通じたのか久しぶりに審判のオファーが届くのであります!

その記念すべき復帰戦は、顧問の中学サッカー部 vs サッカークラブチーム!

 

そうです!

 

相手チームはデビュー戦で飛んだ恥をかかされた本気の人間ばかりが集まったあの"強豪クラブチーム"だったのであります!

 

ついにやってきた汚名返上のチャンス!

相手は因縁の相手でこの上ないシュチエーション!

この機会を逃せばもう信頼回復は無理に等しいかもしれない。

そこで審判本田はこの一戦に向けてある秘策を用意していました。

それは【笛を咥えたまま離さないで走り続ける作戦】。

これをすることにより今まで起こした数々の不祥事、「笛紛失事件」「笛吹かない事件」の二点の失敗を事前にカバー。

グリーンカードはもう完璧に覚えた。もはや本当の意味を知りもっと好きになった。

舞台は完全に整った。再起を懸けた運命の一戦。

一心不乱に笛を鳴らして、いざキックオフ!

 

そしてこの日の復帰戦が「審判」としての最後の試合になるとは、この時は誰も予想していなかったのであります!

 

試合開始早々、好ジャッジ連発!

動きのキレ・スピード、笛のボリューム・タイミング等とにかく完璧!

これは今までの審判本田と違うぞ!

笛を離すことなく口に咥えてまま懸命に走る姿は、まるでおしゃぶりを咥えた赤子のよう。

そうです、審判本田は新たに生まれ変わったのであります!

ひと味をふた味も違う本田のナイスジャッジに生徒の目がキラキラ輝き始めました。

 

「今日の先生は違う!本物の審判だ!」

 

そんな声が聞こえ始めた試合開始から五分経過、まさにその時です!

 

 

 

 

 

「ピッ・ピッ・ピッーーーーーー」(試合終了の合図)

 

 

 

 

全選手「えっ」

 

 

 

 

全選手「はっ?」

 

 

 

 

審判本田「ゼーーゼーーゼーー」(激しい息切れ)

 

 

 

 

本田以外のすべて「試合、終わったぽくね?」

 

 

 

 

そうです!

 

審判本田は常に笛を口から離さず走りまくっていたせいで上手く呼吸ができず、無意識のうちに試合終了の合図を鳴らしてしまったのであります!

 

広大なピッチの中、ひとりだけ溺れていたのであります!

笛が鳴り響いた後のピッチは恐ろしいほどの静粛に包まれました。

それはまさにスラムダンク最終話の桜木・流川のハイタッチまでを描いた無音の世界。

 

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音も台詞もいらない。でも確かに伝わる試合会場の空気感。

そんな無音の中で審判本田だけはミッチーばりに息切れしているのであります!

 

グラップラー刃牙の単行本一冊読み終わるほどのスピード感に、ピッチ上の全選手が顔を見合わせて確認します。

「サッカーってこんなに試合終わるの早かったか?」と―。

 

この試合後、幸なのか不幸なのかサッカー部の顧問を代えさせられた審判本田は後にこう語るのであります。

 

『自分はサッカーは全然知らないんです。だから技術を教えることはできなかったかもしれない。だけどスポーツでも人生でも大事なのは技術じゃなくて気持ちだから。とにかく練習が楽しくできる環境を作りたかった。気持ちよくサッカーができれば絶対に上手くなるから。僕がボクシングでそうだったようにね』

 

優しい表情でそう語る彼の姿は、日本ボクシング界で最高のトレーナーと言われたエディ・タウンゼントとダブって見えました。

 

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6人もの世界チャンピオンを育てたエディはある日、力道山のジムにトレーナーとして招かれたときに選手が竹刀で打たれて指導されているのを見てこう言いました。

 

「リングの上で叩かれて、ジムに帰って来てまた叩かれるのですか?ワタシはハートのラブで選手を育てるね」

 

そして道場にあったすべての竹刀を捨てたといいます。

同じような人柄と才能を持つエディと本田裕人が同じ時代を生き、そして出会っていたのなら、凄まじいボクサーが誕生していたかもしれません。

ありえない夢の話だが、その夢はもしかすると現実になるかもしれない。

エディの優しさを持つ本田が、自分の息子にその夢を託せば・・・

 

この出来事を【新3大】本田裕人の掟破りな不可解ジャッジのひとつとさせていただきます。

ご清聴、ありがとうございました。【完結】

 

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