読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

笑説は事実より喜なり

笑説家 ヤマウチツヨシ/ガッカリさせない期待に応えて 素敵で楽しい いつものブログを見せる予!定。(BLOGで起こせよムーヴメント)

【謎解明】スーパーボウルとラッスンゴレライ

 

年末年始の慌ただしい日々を終わり、少しずつ生活のリズムが落ち着きを取り戻す2月。

日本人が「ラッスンゴレライ」のリズムネタに意味も分からず踊っている傍ら、多くのアメリカ人や一部のコアな日本人は"あるイベント"に心が躍っていた。

毎年2月上旬の日曜日に開催されるNFL優勝決定戦『スーパーボウル』だ。

ロンバケでキムタクが、3階にある部屋の窓から下の道路に向かって自分から投げておいて「ちょっと待てよ!」て言ったら奇跡的に戻ってきた、あのボールのことじゃない。

スーパーボウル』とは、アメリカンフットボールの最高の大会であり、アメリカ最大のスポーツイベントのことだ。

 

pickup_photo

 

日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、スーパーボウル当日は"スーパーサンデー"とも呼ばれ、事実上アメリカの祝日。 年間で2番目に食糧が多く消費されることでも知られ、200以上の国と地域でテレビ中継されている。

特にアメリカでは毎年テレビ番組で年間最高視聴率を記録するなど、極めて注目度の高いコンテンツだ。

今年で49回目を迎えたスーパーボウルは、最後まで勝利の行方が決しないデッドヒートの末、ニューイングランド・ペイトリオッツが2004年以来、10年ぶり4回目のスーパーボウル制覇を達成。

まさに歴史に残る名勝負であった。

 

なーんて、めちゃくちゃ"スーパーボウル知ってる風"に語っていますが、僕自身も最近までスーパーボウルの知識がほとんどなかった。

自称スポーツマニアと周りに豪語しているのにも関わらず、だ。

毎回有名アーティストが登場する「ハーフタイムショー」や「世界一高額なCM」といわれる話題の最新コマーシャルが見れるなんてことは知っているが、肝心のアメフトのルールが分からない。

そんなことではスポーツマニアを自負できないということで、今から二年前、アメフトに詳しい友人3人にレッスンをお願いし、その年に行われた【第47回スーパーボウル】を一緒にテレビ観戦したときの話だ。

 

その友人たちはスーパーボウル、つまりアメリカンフットボールスペシャリスト。

試合開始前、まず軽く素人っぽい質問をしてみる。

 

「アメフトとラグビーてほとんど一緒でしょ?」

 

すると友人たちの表情は見る見るうちに豹変。そして僕を犯罪者を見るような蔑んだ目で睨みつけてこう言った。

 

『ふざけんな!似てるようで全然違う!マナとカナみたいなもんだ!全然違うぞ!』

 

 

ちょっ、待てよ…

 

おもわずキムタク節で呟いていた。

もっと違う例えはなかったのだろうか?

マナとカナの違いがわかる奴が一体どれだけいるんだよ。

そこはせめて「おすぎとピーコ」にするくらいの配慮が必要だろ。

 

あまりにも例えが悪すぎて少しもピンときていない僕に対して、友人たちは事前に用意しておいた「昨年のスーパーボウル」の録画を再生しはじめた。 試合開始まではまだ余裕がある。その時間を使ってキッチリと解説付きでレッスンをするというのだ。

自分からレッスンを頼んでおいてあれなんだが、かなりの有難迷惑。まさか二年分も観戦しなくちゃいけないなんて心の準備ができてない。

そんな乗り気じゃない僕の顔を見たリーダー格の友人が、今度は僕をホームレスを見るような哀れんだ目で睨みつけてこう言った。

 

『キッチンでチキン作るからその間にキチンと予習しな。ヨーチェッキン!』

 

 

ちょっと待てよ!

 

突然のラップ調に動揺した僕は、さっきよりも語気を強めたキムタク節をさく裂させたが、リーダーは振り返ることなく台所へ向かっていった。

乗る気じゃない顔をしてたんだが、おそらく空腹そうに見えてしまったようだ。

さっきみんなでピッツァ喰ったばかりなのに腹減ってるわけないだろ、コイツ馬鹿じゃん。

 

とにかく僕は予習に乗り気じゃなかった。なぜならば、僕にはある特技があったからだ。

その特技と言うのは、"知らないことでも知ってる風を演じて楽しめる"ということ。この特技のおかげで僕は多くの人間を騙し、楽しい時間を共有してきた。

これが通用しなかったのは、長い人生で一度だけ。

“童貞なのに童貞じゃない風を演じた"のに、即バレした若かりし頃、たったその一度だけだ。

それ以外はすべて通用してるのだが、一番成功して欲しかったあの"結びの一番"だけは、いとも簡単にばれたのが何とも情けない話だ。

つまり、こんな特技がある所以、あえてルールを覚えないで観戦パターンでもよかった。

しかし、友人たちは口を揃えて僕にこう言った。

 

『知らないことは恥ではない。知ろうとしないことが恥である』

 

若かりし頃に読んだ若者のバイブル誌・ホットドッグの【童貞とバレない巧みのプレイ特集】に書いてあった【騙すなら 騙しとおせよ ホトトギス】を根底から覆す正反対の言葉に、僕はやっと目が覚めたようだ。

その通りだよ。よし、やってやるぞと。

そう決意し、今日一番の大声を上げる。

 

「レッスンお願い!ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」

 

まさか結婚式より先にこの言葉を使うことになるとは思ってもいなかった。その言葉に笑顔で快諾してくれた友人たちによる熱い実況解説が始まった。

とにかくルールを覚えるために必死でテレビに集中する。

想像以上の解かりやすい解説だった。僕の頭の中に見る見るうちにルールがインプットされてくる。

録画を見終わる頃には、気分はスーパーボウルスペシャリストへと変貌していた。昔からルール知っていたような不思議な感覚。

そしてハッキリと気づいた。このスポーツ、半端なく面白いんだと。

得点はタッチダウン(6点)を決めたら、その後さらにトライ(1点or2点)の権利が与えられる。

その他にフィールドゴール(3点)があるが、主に得点パターンは【タッチダウン後トライ】の1セットで得点が入っていく。

これが基本的な得点パターンだ。

他にもあれこれとルールを覚えたが、その中でひとつだけとんでもなく気になるルールがあった。

それが、『チャレンジ』だ。

 

『チャレンジ』とは、ヘッドコーチが判定に対して異議がある場合に審判へビデオ映像による判定の再確認を要求することをいうのだ。

近年はバレーやメジャーリーグなどでも採用されているこのシステムだが、当時の僕はまったくの初耳であり、ルールと名称を覚えた瞬間に心のどこかに火がついたのをハッキリと覚えている。

 

一体誰だよ、こんな胸が熱くなるネーミングつけた奴は。

 

なんで審判に抗議することを"挑戦"と呼ばせるのだ!

 

なぜ抗議するさまを高い壁に設定するのだ!

 

終わりなき旅かお前らは!なぜそんなに偉そうなんだ!

 

恐らくこのネーミングをつけたのは最強の審判軍団なのだろう。

 

『俺がルールだ。俺の判定を覆すのは簡単じゃないぞ。なに、お前判定に不服だと?ふっ、じゃあ"チャレンジ"を使ってみればいいさ。しかし俺に楯突くってことだからな。覚悟してやるんだぞ?』

 

こんな具合に偉そうにふんぞり返った審判団が決めたネーミングなんだろう。

だから『チャレンジ』を覚えたときに思ったのが、恐らくこの『チャレンジ』というのは余り使うこともなければ、使っても成功しないんだなと、そう決めつけていた。

だって呼び名が『チャレンジ』なんだもん。

 

長い予習を終えた僕は、いよいよその年のスーパーボウルの試合【 レイブンズ vs 49ers 】を観戦した。

試合は、レイブンズに前半28-6でリードされた49ersが34分の異様に長い停電を境に別人のように蘇り、最後はタッチダウン1つで大逆転のところまで猛追する迫真のゲーム!

そんな緊迫した試合終盤のことだ。

49ersが相手有利の判定に対してヘッドコーチが不満をあらわにする。

そしてついにフィールドの神様かつ魔王とも呼ばれる、最強の権力者かつ独裁者・審判に対して、反抗的な態度かつ機嫌を損ねる可能性がある禁断のカード『チャレンジ』を使用したのだ!

 

49ers「審判、ちょっと待てよ!!」

 

実況「49ers、ここでチャレンジ使ってきましたー!」

 

 

ついにきた!

 

禁断のカード、チャレンジがやってきた!!

 

さすが世界のキムタクだ。スーパーボウルでも「ちょっと待てよ」が流行ってるし。

てかチャレンジされた審判もやっぱり心なしか偉そうだ!

第一話の山口智子くらい偉そうだ!

 

まーそりゃそーだよな。

審判もこんなカード使われたらたまったもんじゃないよな。

信用されてないってことだもん。

学校の先生がテストの答案用紙を返した時に生徒から

 

『おいハゲこら。お前の回答間違ってんじゃねーか。なに間違った回答チェックしてんだよ。そんな暇あんならさっさと自分のヘアチェックやってもらえや。いつまでお前の頭皮は不正解なんだよ。頭皮だけに現実から"逃避"ってか。面白くねーんだよハゲ』

 

と言われてるようなもんだからな。

今までなんとなく49ersを応援してたけど、なんかだんだん腹が立ってきた!

 

ふざけんなちゃんと見ろ!先生はハゲてなんかないぞ!

いや、ハゲてるけど隠してないじゃないか!

お前らに頭皮の"当否"をグダグダ言われる筋合いはないぞ!

カツラ被ってないだけ正解してるだろーが!

絶対にそんな『チャレンジ』成功させねーからな!

 

 

そんな先生(審判)に感情移入し、生唾を飲んで見守った20秒後だ。

 

 

 

 

実況『チャレンジ成功です』

 

 

 

 

えーーー!!!

 

 

ちょと待てちょと待てーーー!!!

 

 

ちょっと待てよ!!!

 

 

キムタク節、何回目の登場だよ。

 

あっさり覆るし、覆るまでの時間はやっ!

 

てか審判も心なしか「いやー俺も実はそう思ってたんだよねー」みたいな顔してるし!

 

なんだよそれー。てことはつまりさー、高い壁だと決めつけていたのは、ただの思い込みだったってことかー。

 

この時に始めて観た「スーパーボウル」で、僕は色々な事を学んだ。アメフトのルールも人生のルールも対して変わらないんだと。

勝手に自分じゃ無理だと決めつけていたものが、実は意外と『チャレンジ』したら簡単だったりする。

自分が知らないことに挑戦するのも『チャレンジ』だし、知ってることでも自分が違うと思ったら"違う"って言うこともまた『チャレンジ』なんだと。

その日までなかなか「それは違うよ」って言えない人生を送ってきたから、すごく考え方が変わったとても意味のある一日だった。

そしてあの日をキッカケに僕は、自分の信じた道をずっと『チャレンジ』続けてきた。

そしてついに脚光を浴びる日がやってきた。

 

「レッスンお願い」

タッチダウン後トライ」

「ちょっと待てよ」

 

あの日に覚え、そして多用したこの言葉たちをもじって考えたフレーズが、まさかこんなにヒットするなんて。

 

あのーつまりですね、「ラッスンゴレライ」を考えたの、実は僕なんです。(大嘘で無理やりオチ作って落ち着く)

FullSizeRender