読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

笑説は事実より喜なり

笑説家 ヤマウチツヨシ/ガッカリさせない期待に応えて 素敵で楽しい いつものブログを見せる予!定。(BLOGで起こせよムーヴメント)

怪談ブログ「稲川淳二の超こわい飲食店」【前篇】

 

え~今からする話は、数日前にアタシが体験した話なんですけどね。

8月の第一金曜日のことなんですが、なんとな~く道を歩いていると、ふと友人のМくんを思い出したんですよ。

最近はずっと連絡してないのにね、急に頭をよぎっちゃったもんだから、なんだか心配になりまして。これって悪い虫の知らせなんじゃないかな~って。

「なんだろな~おかしいな~」なんて考えながらМくんに電話をかけたら普通に出ましてね。

まぁ話してみるんだけど、いつも通りなわけですよ。それで安心したもんだから電話を切ろうとすると、Мくんが慌てて『たまには店に遊びにおいでよ!』と言ってきた。

Мくんはね、しゃぶしゃぶ屋を経営していましてね。

ま~アタシもしゃぶしゃぶは嫌いじゃないんで、久しぶりに食べたくなっちゃった。

それに折角だから友達を誘って行こうと考えましてね。明日の土曜日に予約をして、その日はぐっすり寝たわけですよ。

 

・・・そして翌日の土曜日、たしか午後20時頃でした。

店についた途端、な~んか嫌な予感がしたんですよ。

「うわ~なんでかな~おかしいな~」と思いながら予約した時間に彼のお店に入ると・・・

 

 

そこには人っ子ひとりもいやしない。

 

 

inagawa11

 

 

土曜日の夜の飲食店なのに誰もいないんですよ。

間違って開店前に来たんじゃないかと携帯と腕時計のダブルで時間を確認したんですが、間違いなく予約時間の午後20時。

なのに、すでに閉店後の静けさなんですよ。

ス~ス~って、すきま風も聞こえてきて、開店前の慌ただしさすら感じない。

もしかしてこの店は既に潰れてしまっていて、アタシが話したのは死んだМくんなんじゃないかって思いましてね。

すると背後からひょっこりМくんが現れ、アタシの耳元にピタリと口を近づけて、こう囁いたんですよ。

 

 

『いらっしゃい』

 

 

inagwa2

 

 

もう背筋がゾゾゾゾ~ってしましてね。「幽霊が出た!」っておもっちゃった。

でもしっかり目の前にいて喋るもんだから、恐らく幽霊じゃなさそうなんですよ。

とりあえずテーブルに案内されたわけですよ。

席に着くとね、またな~んか嫌な予感がしたんですよ。

「うわ~なんでかな~気持ち悪いな~」と思ってるとМくんがこう聞いてきたんです・・・

 

 

『何を食べる?』

 

 

inagwa3

 

 

もうアタシは頭にパニックになりましてね。

だってこの店しゃぶしゃぶの食べ放題の店で、しゃぶしゃぶしかメニューにないんですよ。

それなのに客に選択肢を与えてるなんて、店のシステム知ってる人間が聞く事じゃない。

「何を飲む?」じゃなくて「何を食べる?」。

この質問はおかしいよな~なんて思いながらテーブルに目を向けると、ガスコンロが用意されてるんですよ。

むしろ横に肉まで用意されてる。

やっぱり最初っから「しゃぶしゃぶ」じゃね~かって。選択肢ないじゃね~かって。

文句の一つでも言ってやろうと思いましたが、まぁアタシもしゃぶしゃぶが好きですから、黙って食べようと思いましてね、コンロに手をかけました。

ここでもね、またまたな~んか嫌な予感がしたわけですよ。

「うわ~ヤダな~、気持ち悪いな~」と思ってコンロのスイッチを回した瞬間・・・

 

 

火が着かないんですよ。

 

 

inagwa1

 

 

試合すら開始させてくれない。

料理を食べてる途中でもないのに、火が着かない。

他のテーブルにお客様は一人もいないのに、

唯一の客なのに、貸し切りなのに、火が着かない。

もうアタシは悪寒がゾゾゾゾーってしましてね、Мくんを呼んだんです。

「おい、火が着かないぞ」って。

するとМくんはガスコンロを触りに触りまくると、我に返ったようにハッと何かに気がついたんです。

すると薄ら笑いを浮かべてこう言いました・・・

 

 

『あぁこれ、ガスが思いっきり空だよ(笑)』

 

 

inagwa4

 

 

もうアタシは開いた口が塞がらなくなりましてね。

その言い方は、まるでアタシが悪いみたいな言い方。

アタシが壊して慌てて店員呼んだが、『原因はガス切れたよ~おっちょこちょいだな~お前は~』みたいな上から目線の言い方。

いや、あんたのせいだよ。

アタシたち以外に誰もいないのに、最初からガスを交換してないコンロを用意する準備不足感は、ぶっちぎりであんたのせいだよ。

もうね、この時にダメだな~と思いましたよ。

でも、ま~お金は払うわけだから食べたいわけですよ。

「ダメだな~もう本当にダメだな~」と思ってふとメニューに目をやると、

 

 

【当店はプリンセスポークしか取り扱っておりません】

 

 

とデカデカと書いてあるんです。

その横には『プリンセスポーク専門店』とまで書いてある。

しゃぶしゃぶ好きなアタシなんですが、豚の銘柄や品種に関しては全く無知。

だからどうも気になりましてね。

専門で取り扱ってるこの豚肉が、他の豚肉とは"どう違うのか"を。

味なのか食感なのか、はたまた栄養分なのか。

その他の豚肉とは違う"プリンセスポーク"が持ち合わせる特筆すべき点が気になって仕方ない。

だからМくんに聞いたんですよ、「プリンセスポークってどんな豚なんだ」って。

プリンセスポーク専門店のオーナーであるМくんに聞いたんです。

すると、

 

『あ~プリンセスポークはね・・・』

 

そこで言葉が詰まった。

何かとんでもないこと言うんじゃないかとアタシは息を飲みましてね。

しばしの沈黙の後に、Мくんが重い口を開き、こう言ったんです・・・

 

 

 

 

『ほとんどメス豚よ!』

 

 

 

 

inagawa5

 

 

 

も~うアタシは頭に血が上りましてね!!

もう震えも止まらなくなって息もできない!!

この人はただ頭が悪いんじゃないかって!

お客様が聞きたいのはそこじゃないだろって!

しかも「月に変わってお仕置きよ!」みたいな口調で『メス豚よ!』って、そんな突き放す言い方がありますか!

セーラームーンオーナー、プリンセスって言葉に過剰反応しすぎだって!

プリンセスはセーラームーンの称号だって皆わかってるって!

しかも『メス豚よ!』って、ただ和訳しただけだって!

誰でも大体それはわかるって!

しかも『ほとんどメス豚よ!』って!

たまにはオス豚も混じってますみたいな誤解を招くような言い方をするんじゃないよって!

 

プリンセスポークに魅了されて

プリンセスポーク専門店を出した

Mr.PRINCESS PORKの呼び声高いМくんが

持ち合わせてる最高の知識!

 

それが、

 

『プリンセスポークは、ほとんどメス豚よ』のみ!

 

その一点のみ!

 

もう、ここで諦めたんですよ。コイツには何言ってもダメだって。

ただね、プリンセスポークは本当に美味しいから黙々と食べるわけですよ・・・

【後編に続く】

 

www.monoii.net